当財団について

公益財団法人 アイネット地域振興財団 設立趣意書

 わが国は、第二次世界大戦の廃墟の中から立ち上がり、日本を再建するという全国民の共通の思いの下、力を合わせ、努力を重ね、世界に誇りうる豊かな国を作り挙げてきました。
 しかし、平成3年(1991年)にバブル経済が崩壊し、長い沈滞の時を過ごし、社会に様々な課題が発生してきました。世代間の価値観のズレ、都市への集中、地域コミュニティの希薄化、少子高齢化、貧困、格差などもその大きなものであります。
 また、平成23年(2011年)3月11日の東日本大震災は、正に未曽有のものであり、日本人の生き方、過ごし方を大きく変える転機になっております。


 こうした中で、阪神淡路大震災以降、若年層を中心にボランティア活動が盛んとなり、東日本大震災、熊本地震、広島・岡山・愛媛豪雨被害、北海道胆振東部地震などでも、お互いを支え合う共助の活動が多く見られます。このような市民等を活動の主体とするボランティア活動やNPO法人、任意団体、社団、財団などの非営利団体活動などにより社会的な諸課題を解決しようとする「志」を持った活動は、広範な広がりを見せております。しかし、概して個人の善意等に依存して、資金的には活動の持続に悩んでおられる団体等が多いのが実情のように見受けられます。


 私自身の人生を振り返りますと、昭和38年(1963年)に大学を卒業後、モービル石油に入社し、人々の暮らしや経済活動の範囲や速度を抜本的に変革するモータリゼーションの進行のただ中に身を置くことになりました。その現場で、取引量が飛躍的に著増するガソリンスタンドの事務処理をいかに手作業から脱却させるか、という課題に着目しコンピューター化する時代の先を予見して、事務を効率化処理するビジネスモデルを立ち上げ創業しました。この仕事は必ず社会の役に立つという強い信念「志」を持って事業を進め、その後、事業分野を拡げつつ、株式会社アイネットを東京証券取引所第1部上場企業へと導きました。


 この間、特に創業の頃には、お取引先の皆様をはじめ多くの皆様に励まされ、ご支援をいただきました。自分はこうしたいという「志」がなければ、物事は進みませんが、周りの方々の折に触れたご支援等も欠かせない推進力になったと思っております。


 このような自分自身の経験等も踏まえ、かつ、これまでいただいた有形、無形のご支援に些かのお返しをしたいと考えるに至りました。株式会社アイネットの経営の中でも幾つかの社会貢献活動を展開してきましたが、もとより、全てのことができるはずもありません。そこで、池田典義個人として、限られた分野であっても継続してできることはないかと考え、社会的な諸課題の解決のために尽力されておられる、市民等の社会的活動等に対して、その活動資金の一部を助成するとともに事業の持続を後押しする支援活動などを事業目的とする財団を設立したいと考えた次第であります。



平成31年(2019年)2月19日
財団設立者  池田 典義
(株式会社アイネット創業者)